洗濯日和 2

「お茶どうぞ」

少女をリビングに座らせお茶を出す。警察に連絡する前に色々聞いておこうと思ったからだ。
湯のみのお茶をぐびぐび飲み始めた少女に質問する。

「あの、いつから洗濯機に居たの? どこから来たの? どうやって家に入ってきたの?」
「うーんとね。たけしはさっきたけしの家の洗濯機に入ったらここに着いたの。凄いでしょ!」

やはりこの少女は自分のことを『たけし』と名乗っている。最初に名乗られた時は聞き間違いだと思ったのだが、やっぱり『たけし』のようだ。容姿はどう見ても少女であるので本名ではなく偽名を名乗っているのだろうか。もしくは完璧な女装でもしているのだろうか。いや、本名かもしれない。

「そうなんだ」

洗濯機の中に入ったら洗濯機から出てきたと言っているが納得はできない。しかし玄関には鍵がかかっていたし、さっきお茶を出す時に確認したがその時もしっかりと鍵がかかっていた。
たけしは勝手にテレビを付けだすとニュースを見だした。

「そういえば今日は日曜日だよ? どこか出かけないの?」

 たけしは俺の心に槍を刺してきた。俺は今日友人の星と買い物に行く予定だったのだ。しかし、買い物の約束をしたあと喧嘩をしてしまって予定は白紙。喧嘩の原因はたいしたこと無い些細な事だ。ここで言うには恥ずかしすぎるくらいの。

「わかった。お前、今日友達と遊ぶ約束してたけど、約束したあと喧嘩したんだろ。喧嘩の理由は、おやつはバナナに入るかどうかでしょ!」

二つ目の槍が飛んできて俺の心を貫く。

「えっ、なんで知ってるんだよ。バナナはおやつに入るかという議論をしていたら話が大きくなちゃって最終的には喧嘩になってしまったんだ」

さっきわざわざ喧嘩の原因を言わなかったのにたけしに暴露されてしまった。

たけしは後ろを向くとどこからか紙取り出して広げながら言った。

「じゃーん」

紙には綺麗な字で大きく「仲直り大作戦!」と書いてあった。

「何もせずにプリン貰うのは悪いから、たけしが仲直りの手伝いしてあげるよ。上手く仲直りできたらプリンもう一つ追加ね」
「ちょっと待ってくれ。なんだそれは。そんな事してもらわなくても仲直りくらいできる」
「は? なに言っちゃってんの? 私を誰だと思ってるの? たけしよ! たけし! ジャイアンよ! 心の友だよ! お前のものは私のもの! お前の人生私のもの! パステルのプリンも私のもの!」

前へ 続く

inserted by FC2 system